第1回 何のための働き方改革?

経営と働き方改革

1. 働き方改革と言われても……

2020年4月から、中小企業では1年間猶予されていた時間外労働の上限規制が開始されます。待ったなしで時間外労働の削減に取り組まなければなりません。違反した場合、6カ月以下の懲役又は30万円以下の罰金が使用者に課されます。使用者には経営者はもちろん、指揮命令の実質的な権限を持っている店長なども含まれる可能性があります。
しかし、いくら働き方改革と国から言われても、商品の品質を下げることはできず、問い合わせも従来通り来る以上、いきなり残業を減らすことは困難です。それに加えて、与えられた仕事だけを言われた通りにやるだけなら、仕事のやり方をそれなりに変えれば残業も減るのでしょうが、そのような仕事はこれからどんどん少なくなっていくと思われます。加えて、この人手不足。新しく人を雇おうにも、一筋縄ではいきません。
これからの時代、求められるのは、会社のビジョンに共感し、会社の儲かる仕組みを役割に応じて積極的に作っていく仕事といえるでしょう。働き方改革で対応しなければならない事柄と合わせて、この仕事を実行できる従業員を育てる仕組みを作ることが重要だと思われます。

2. ネガティブをポジティブに

働き方改革というと、ついつい残業時間の削減、年次有給休暇の付与をしなければ罰則がある、というネガティブな点がクローズアップされがちですが、それだけではもったいない。むしろ、これから会社の中心になっていく志の高い従業員に、人生のいろいろな段階で生き生きと働いてもらうための仕組みを積極的に作っていくというポジティブな側面に着目したいところです。この連載では、働き方改革が時代の流れとして避けられないことを前提として、経営視点で必要と思われることについて解説します。

次回: 経営問題としての働き方改革

単なる従業員にやさしい会社ではなく、同時に利益の上がる仕組みを作らなければ、働き方改革は成功しません。その意味で、働き方改革は経営改革であり、人事施策のみでの実現は難しいでしょう。不要な残業代を少なくしつつ、利益を上げる、人材不足を解消する(離職者を少なくする、入社者が入りたいと思う会社になる)といったメリット実現のため、どのような施策が必要でしょうか。