会頭ごあいさつ

「不易流行」を考える

私の座右の銘は「不易流行」です。会議所会報名と同じです。周知のこととは思いますが、この四文字熟語は松尾芭蕉が「奥の細道」の中で見出した俳諧の理念です。「不易」は時を超えた不変の真理あるいは変わらないもの。「流行」とは時代や環境の変化によって革新されていくものをいいます。
私は、「流行」は「不易」を成し遂げるための方法・手段だと考えています。現代社会では「流行」のサイクルは3年程で変わりますので、臨機応変に対応していく必要があります。
2024年を目途に発行される新一万円札の肖像画として採用された渋沢栄一(東京商工会議所初代会頭)が、『論語と算盤』で書き記した正当な利益の追求と公益を第一とする「道徳経済合一説」、「士魂商才」の精神は現代の商工会議所にも脈々と受け継がれ、SDGsの目標達成には欠かせない理念となっています。言うまでもなくSDGsは「Sustainable Development Goals」、持続可能な開発目標です。
商工会議所のサステナブル、或いはサステナビリティを考えたとき、「会員を始めとした商工業者や、彦根にお住まいの人々のために発展的な未来を築くこと」が「不易」だという思いに至ります。
9月21日、小出英樹前会頭から「彦根城世界遺産登録の推進とまちづくり」「地域経済振興と中小企業対策」「大学、高校との連携」など9項目について引き継ぎました。これまでの会議所としての歩みを大切に、今まで以上に「不易流行」を大切にしながら、今後は「不易」の部分に力を入れていくつもりです。会員事業所の声を聴き、課題解決に尽力できる会議所を目指したいと思います。
まずはアフターコロナや円安、物価高、事業承継の悩みなど、課題を解決するためにはどんな方法があるのかということ、「流行」を捉え、サポートしていくことができる会議所を目指したいと思っています。

地域経済活性化に向けての課題と会議所の使命

現在の地域経済について
2020年1月より世界に広がった新型コロナウイルス感染症の影響により、世界経済は大恐慌以来の大きな打撃を受け、更に、物価高により中小企業はいっそう苦しい状況に追い込まれています。今年8月の時点で、消費者物価指数(前年同月比)はアメリカで8.3%、イギリス9.9%。対して日本は3.0%と驚くべき数字となっています。
この数字は中小企業が価格転嫁できず自らが吸収している状態です。さらなる値上げが今月にも実施されますので、価格転嫁ができなければ、今まで以上に多く中小企業は倒産の危機に直面するしかありません。
また、人材にも影響があり、従業員の給与アップは喫緊の課題で、上げていかないと物価上昇には追いつきません。給与を上げて人材を確保することが、これから企業にとって必須になってきます。そうなると、いかに企業価値を高めていくかが大きなテーマとなります。
経営に小回りが利き、果敢に挑戦し易い中小企業・小規模事業者が持つ役割・特徴に着目し、成長志向にしていくことが、「成長と分配の好循環」の実現のためにも必要であると考えられています。
会議所として、会員事業所の声をとりまとめ、適切に支援していく活動を積極的に行いたいと考えています。

2022年11月

会頭 沼尾 護