彦根市観光満足度調査速報 後編

特集

一般社団法人 近江ツーリズムボード 2019年度彦根市観光客満足度調査(調査分析:滋賀大学産学公連携推進機構)より

 今回の不易流行WEBでは、彦根市内観光エリア4箇所に調査ポイントを設定し、彦根市を訪れた日本人観光客にランダムでアンケート調査を実施した結果、869枚(内外国人73枚)のサンプルを得ることができた。また、2017年から彦根市で初めてとなる外国人観光客を対象とした満足度調査も引き続き実施し、経年比較が可能となった。本調査は2009年度に観光庁により全国50地域を対象に実施された「観光地の魅力向上に向けた評価手法調査事業報告書」で実施されたアンケート票を使用し、アウトプットを揃えることで彦根市以外の50都市とレベル感を比較することが可能となっている。観光入込客数や宿泊客数、外国人観光客数など彦根市が見習うべき観光先進都市と比較することで彦根市の課題を推察できる他、客観的に見た彦根市の打ち出すべき魅力を知ることも期待できる。観光庁の調査では最も多い地域のサンプル数で631であることから、今回の彦根市調査では更に精度の高いサンプル数が集まったと言える。今回は新型コロナウイルスの影響を最も受け、厳しい情勢を必死に耐え忍んでいる観光業の皆様の再起の時に向けた仕込みの一助とすべく、調査結果を元に各項目について考察し、彦根市観光の方向性について検証する。

外国人観光客の特徴

 23年目となる外国人観光客の満足度調査であるが、今年も想定以上の満足度が得られた。
 外国人観光客は約9割が初めての訪問で、30代以下が約5割を占めている。日本人観光客は30代以下が約2割に過ぎず、若い層が多いことが特徴的である。国籍としては、欧米が多いのが特徴的である。1週間以上の長期滞在者が多く、日本をあちこち回っている姿が想像できる。
 外国人観光客が彦根で楽しかったこととして高く評価したことは、彦根城を中心とした名所旧跡、自然・街並み景観、琵琶湖、街歩き、グルメである。日本人と大きく異なる点は、彦根城を中心とした名所旧跡、自然・街並み景観、琵琶湖への高い評価である。一方、ひこにゃんはあまり評価されていない。サービス品質の評価については、外国人観光客は,すべて6.0以上と高い評価を示した。特に、自然景観、観光施設 従業員のおもてなしに対する評価が高い。

表2 彦根で期待する楽しみ
日本人 外国人
名所旧跡(彦根城、玄宮園、寺社仏閣など) 66.4% 91.8%
自然・街並み景観 30.9% 64.5%
琵琶湖(散策、クルーズなど) 18.8% 45.2%
文化施設(博物館や美術館など) 4.0% 15.1%
野外スポーツ活動 0.3% 2.7%
街歩き 29.9% 28.8%
地域の祭り、イベント 17.1% 2.7%
地域の文化・工芸体験 1.9% 2.7%
ひこにゃんとの出会い 48.8% 5.5%
映画やアニメの聖地巡礼 0.8% 0%
グルメ 21.8% 21.9%
買い物 14.6% 8.2%
帰省・親族や知人への訪問 1.5% 2.7%
その他 1.3% 0%

黄色は20%以上

彦根観光の満足度を高めるために

 外国人満足度調査は、今後の彦根の観光を考える際の重要なデータを提供した。まず、外国人の総合満足度、紹介意向は日本人観光客と比べてはるかに高いことが特筆される。外国人観光客の多くは個人客で既に日本各地を回った日本通が多いと推察され、初めての訪問となる彦根に対して高い満足度を示したことは、彦根が国際的に通用する観光地となる高いポテンシャルを持っていることを示唆している。
 これらの結果から今後注目すべきポイントは次の通りである。

  1. 本物を感じるプログラムの開発と発展
    世界遺産を見据えた普遍的価値、「彦根城」、「大名庭園」、「大名文化」、「江戸時代の町家、街並み」、「ひこにゃん」等、特に日本人や外国人にとって、彦根で本物を鑑賞、体験できる価値は大きい。
  2. 近江「美食都市」プロジェクトの発展
    日本人、外国人でも「食」への関心は大きい。近江「美食都市」プロジェクトは時機を得た取り組みである。全国から人を集める食イベントの実施など更なる発展が期待される。
  3. インバウンドプロモーション
    外国人観光客の増加は、平日や冬季の集客となり、観光客を通年平準化させ、地域経済にプラスの影響が期待される。外国人観光客の満足度の高さは、彦根に大きなポテンシャルがあることの証だ。
  4. 駅から彦根城、彦根城下アクセスの改善
    世界遺産都市を見据えたパークアンドバスライドの常設化、彦根駅・彦根城郭のトランジットエリア化、GSM(グリーンスローモビリティ)の導入、外国人観光客が安心して彦根城にたどり着ける案内看板等のインフラ整備。
  5. 感染症対策の徹底
    現在、新型肺炎の感染が懸念されているが、彦根のような観光都市においては観光客に対する予防対策、患者が出た場合の対応策を検討する必要がある。外国人に対する対応も検討課題である。

 次号以降にご紹介予定の「彦根市観光に関する経済効果測定調査」最新版では、日帰り観光客数・消費額、宿泊観光客数・消費額ともに軒並み前年比小幅の増加という結果になっている。しかし「国宝・彦根城築城410年祭」が開催された2017年と比較すると2018年同様大幅減少だ。2018年に一旦平年並みに戻り、2019年に底堅く増加、今回ご紹介した満足度調査においては総合評価では昨年比で大幅な飛躍となり、量、質ともに底堅く向上した年となったことがうかがえる。世界遺産登録推進の進捗に関しては、学術的な面を除いて、指摘されている課題もありこれからが正念場だ。もし世界遺産登録が順調に進み、より多くの観光客の方が来られても、関係各所がこの調子で地道な対策をしていけば、観光客が増加する局面にきちんと対応できるかもしれない。この結果は、地道な対策を仕組みに落とし込み、ルーチン化し、観光の底力をつけるための、つまりは成長軌道に乗るためのファーストステップである。彦根市観光の繁忙期である春を直撃した新型コロナウイルスの影響により2020年は大幅な下振れが予想されるものの、彦根市観光が強かに底堅く長期にわたって再起を図ることを期待したい。