第3回「休みたくない社員」が社長を苦しめる

経営と働き方改革

1. 有給休暇とは?

文字通り、会社から給与を貰うことができる休暇を指します。働いていないのに給与が出るというのは、不思議な感じがしますか?この制度、実は第2次世界大戦前夜(1936年)、フランス人民戦線政府のラグランジュ法が起源です。社会主義革命寸前であったフランスでは、労働者の地位を高める施策として、すべての労働者に2週間の有給休暇が保障されました。しかし、当時のフランス国民が直ちにヴァカンスに出かけられるわけでもなく、本当にヴァカンスが一般化するのは、フランス経済に「栄光の30年」が訪れる1950年代以降でした。

日本でも、労働基準法は以下のように定めています。

1条1項 労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。
1条2項 この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。

労働基準法は人たるに値する生活を具体的に実現するため、有給休暇という制度を含んでいるのですね。ただし、日本では、歴史的に労働者が勝ち取った権利というわけでもないため、ヨーロッパと比較すると、取得率がどうしても低くなりがちです。

2. 働き方改革での有給休暇と罰則

労働基準法改正後は、年間5日の有給休暇を取得させることが義務化されます※。管理職やパートタイマーを含めたすべての労働者について、10日以上の有給休暇が付与されている人が対象です。10日の内、5日分を強制的に取得してもらうイメージですね。取得できない場合、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が使用者に課されます。これは取得で来ていない1人当たりにつき、です。
また、労働基準法の罰則自体の金額は少なくても、ブラック企業という風評やメディアでの悪評、労働者からの損害賠償請求があれば、必要なお金は何十~何百倍に膨らみます。極めて実利的な理由で、労働基準法に違反してはならないのです。

※5日には半日単位での取得はカウントされますが、時間単位で取った分はカウントされないことに注意が必要です。

3. 休みたくない社員は許されない

有給休暇の日に自主的に出社したり、自宅で仕事をする社員がいた場合、どのように判断されるでしょうか?この場合、有給休暇を取得したことにはなりません。罰則を受けるのはあくまで会社側のため、なんとしても有給休暇を取得してもらう必要があります。
実際に、貴社内で有給休暇を取得できていない社員を思い浮かべてください。多くのケースで、取得できる人と、取得できない人が固定されていませんか?この場合、制度的なものよりも、業務の進め方が原因となっていることが多いでしょう。例えば、取得で来ていない人の有給休暇予定日を社員全員で確認して、「この日は~さんの有給休暇なので、会議を入れないようにしよう!」「出張を入れないようにしよう!」というように、全社一丸となって取得を推進する心がけが効果的です。
今までの業務を今までと同じようにしていては、隠れ残業を助長するだけです。有給休暇の取得を通じて、業務の流れや社内のコミュニケーション改善のきっかけにできるとよいですね。

 

次回:「残業時間規制」のルールが変わります。守らなければならないポイントについて記載します。