近江鉄道再建で法定協設置へ

地域経済レポート

沿線市町、鉄道部門25年連続赤字

 鉄道部門の赤字経営が続いている近江鉄道(本社・彦根市駅東町)の再建策を話し合う「近江鉄道線活性化再生協議会」は10月下旬にも法定協議会に移行し、本格的な議論を行います。
 近江鉄道は彦根や米原、東近江、犬上郡など5市5町の総延長59.5キロメートルで運行。1898年(明治31年)6月に彦根・愛知川間が開業して昨年で120周年でした。年間の利用客数は2018年度が約483万人で、通勤定期利用の増加により前年度の約479万人から微増しましたが、ピーク時の1967年度の約1126万人と比べると半分以下になっています。経営状況も1994年度から25年間連続で赤字が続いており、昨年度は過去最低の3億8000万円の赤字でした。赤字の累積額は44憶円を超えています。
 車体やレールなど老朽化している設備への投資面についても、近江鉄道は今後10年間で車体の更新とレールの交換が3倍、橋りょうが2倍になるなど、2007年度~16年度の36億8000万円から、17年度~26年度には54億7000万円に増えると試算しています。
 近江鉄道は経営努力として、駅の無人化など人員削減、設備投資の抑制、イベント列車の運行、グッズ販売、新駅の開業などをあげた上で「イベント列車などの利益は数百万円で損益の改善への貢献は大きくない」と分析。今後も赤字の解消が見込めない上、老朽化した設備の更新に多額の費用が必要だとして「民間企業の経営努力による事業継続は困難」との見方を示しています。

「上下分離」など方式決める
「存続前提」で来年度に計画策定

 近江鉄道から報告を受けた県と沿線5市5町は昨年12月に近江鉄道線活性化再生協議会を設置し、今後のあり方について協議を重ねてきました。また先月27日には三日月大造知事と5市5町の市長・町長による「沿線自治体首長会議」が東近江市内であり、10月下旬の法定協議会の設置を確認しました。知事は「最初から存続ありき、廃止ありきでなく、地域の持続的な発展に資する議論をしていきたい」と述べていました。
 法定協議会は学識経験者や首長、事業関係者らで組織され、「鉄道の存続」を前提に話し合いが行われる予定です。再建策としては、輸送密度の低い区間のバスへの転換(一部路線廃止)や、鉄道部門を第三セクターなどが保有して施設の整備保持と運営を分ける上下分離(公有民営)方式などが考えられます。
 運営方式や事業費負担額などを決め、来年度中に地域公共交通網形成計画の策定を目指します。上下分離方式を採用する際は法定協議会で継続して話し合いが行われ、鉄道事業再構築実施計画を策定していくことになります。