彦根城 5年後の世界遺産目指す

市政報告

「統治」構造に着目、文化庁が課題提示

 2024年度の彦根城の世界遺産登録に向けて、彦根市は推薦書原案の骨子を文化庁に提出。これに対し文化庁の文化審議会はさきごろ「開発中の事業の適切な検討」などの課題を示しました。
 彦根城の世界遺産を目指すうえでの最大の懸案事項は、既に登録されている姫路城との差別化です。それをクリアするには国内はもちろん、諸外国や将来の世代にも明確に説得できるような「顕著な普遍的価値」を定める必要があります。
彦根市は江戸時代の藩主や武士たちが城とその周辺に住み、一体となって「統治」していた社会構造に着目。個別の領地を支配していた戦国時代の武士が、江戸時代に統治者へと転換したとし「彦根城がその統治を表した代表的な城だ」としています。

登録範囲は特別史跡のみ

 世界遺産を目指すうえで、その登録範囲も焦点になります。彦根市は中堀より内側と埋木舎の特別史跡に絞ったエリアでの登録を目指します。具体的には彦根城の天守、櫓、藩主が住んでいた表御殿跡、旧藩校の弘道館跡、槻御殿、玄宮園、重臣屋敷、埋木舎です。
最近までは登録範囲の候補に外堀土塁や辻番所、井伊神社なども入っていましたが、現在は参考物件としての緩衝地帯(バッファゾーン)の位置づけに止めて、あくまでも特別史跡内のみで登録を目指す考えです。

開発事業 適切に検討を

 市は滋賀県と連携し推薦書原案の骨子を作成し今年3月に文化庁へ提出しました。5月20日に開催された国の文化審議会世界文化遺産部会では、

  • 「統治」を軸とする顕著な普遍的価値の妥当性の更なる検討
  • 主張する価値についての国内の城や外国の「統治」との比較研究の継続
  • 緩衝地帯の範囲の妥当性の更なる検討
  • 緩衝地帯とその近郊で進行中の開発事業の適切な検討が必要

などの課題が示されました。
 緩衝地帯などでの開発事業には国体主会場の整備なども入るとみられます。今回の文化庁の提示に対し、市としてどのように対応するのか、またより説得力かつ具体性のある「顕著な普遍的価値」の立証などが課題になります。
 今後、市は2021年度までに推薦書原案を作成し、22年度の推薦を経て、24年度の世界遺産登録を目指しています。

啓発パンフを無料配布

 彦根市は啓発用パンフレット「彦根城を世界遺産に」を作成し、市内の公共施設で無料配布しています。
 パンフレットでは、登録を目指す特設史跡内の建物を写真入りで解説しているほか、「彦根城を見れば、江戸時代が分かる」とのキャッチコピーを中央に配し、重視している「統治」構造について説明しています。
 最終ページでは世界遺産への道のり、彦根城世界遺産登録 意見交換・応援1000人委員会などを紹介しています。A3判二つ折り。7000枚作成し、彦根市民会館、開国記念館、彦根城博物館、市立図書館、各地区公民館などに置いています。

パンフレット『彦根城を世界遺産に』